『ショコラ 歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯①』

感動のヒューマン・ドラマを描いた

『ショコラ 歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯』

物語の概要を何回かに分けてご紹介したいと思います。

 

あらすじ

舞台は19世紀末、世界の文化の中心だった華やかなりしパリ。キューバから連れられてきた「ラファエル」と呼ばれる元奴隷の黒人は、運命のいたずらか、パリの名だたる大サーカス団の芸人となった。その名は「ショコラ」。血のにじむような努力、また幸運にもめぐまれ、やがてパリ随一の人気を誇るようになった。ショコラは、ついに自分は芸だけでなく、「人間」としても認められ、白人と同じ「自由」を得たと思ったのだが……。

 

●黒人への偏見から自由になりたいショコラに不思議な縁が

彼が生きる舞台のときは、19世紀末(日本では明治時代初期~後期)、キューバ生まれの若い黒人ラファエル(ショコラの本名)はスペイン商人に買われスペインに渡ったが、主人から脱走し、別の主人の使用人となってフランスへ渡ったことから不思議な縁に恵まれます。

フランスへ一緒に渡った主人は「トニー・グライス」というヨーロッパでも名の知れた道化師でした。パリに着くとグライスはラファエル(ショコラ)を従えて当時パリの名門サーカス座「ヌーヴォー・シルク」の経営者、ジョゼフ・オレールのもとへ挨拶に訪れたことがきっかけで、彼の目にとまります。

はじめは主人(道化師)の相手役(カスカドュール)になりますが、最初はつねに殴られ、やりかえすことができない役柄でした。

しかし、ショーの支配者の立ち位置とされている舞台監督アンリ・アグストは、ラファエルの芸人としての素質や魅力に気づき、オレールを説得することで主役に抜擢します。主役となる作品は「ショコラの結婚」、水上パントマイムです。アグストによる特訓の成果もあり、作品は初演から見事な成功を収めました。パリで有名な新聞は絶賛し、ラファエルはパリのサーカス界のスターになります。

 

『ショコラの結婚』の宣伝ポスター(©BNF)

『ショコラの結婚』の宣伝ポスター(©BNF)

 

 

(次回に続く)

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